木天蓼 マタタビ またたび
(マタタビ科 マタタビ属 落葉つる性 花期:6−7月)
北海道・本州・四国・九州の山地に自生するつる性の落葉木です。
長く伸びた茎は、他物にゆるく巻きつき細い枝を数多く出し、若い枝(新芽)には細かい毛があります。
葉は互生し有柄、卵円形で先端は鋭尖、茎部は円形で辺縁にはきょ歯があります。葉の長さは約10cmで雌雄雑居性です。
夏の頃に枝先の葉腋に1〜3個梅の花に似た純白の単性花または両性花を咲かせ、花には芳香があります。この花が咲く時期になると、枝先の葉の表面が白く変色することが多くあり、遠方からでも目立つのでマタタビの所在がよくわかります。
花が終り結実するころになると、白変した葉はいつしか消えてもとの緑に戻ります。
果実は3〜4cmの先のとがった長だ円形の液果で、表面は平滑です。青い実は強い辛味がありますが、熟して黄色くなると甘味が出てそのままでも美味しく食べられます。
果実の中に虫が入ったものは、虫えいができカボチャ型になります。これは蕾のころから開花直前に花の中心の子房にマタタビアブラムシ(Asphodylia
matatadi YUASA et KUMAZAWA)が卵を産みつけると子房は正常な発育ができず異常な塊状の果実となってしまうことによります。このカボチャ型の実を熱湯で処理して乾燥したものを漢方薬で「木天蓼」=モクテンリョウ=といい、古くから秘薬として重宝されてきました。
昔、疲れきった旅人が、マタタビの実を食べて生気を取り戻し、意気洋々とまた旅を続けたということから「又旅→またたび」と言うそうです。このことから民間では昔から強精薬と伝えられてきました。
漢方薬「木天蓼」の薬効は、冷え症、利尿、強心、神経痛とされています。
≪マタタビ(またたび)の主な成分と効用≫
主な成分:マタタビ酸、ビタミンC、アミノ酸、ミネラル
(*マタタビ酸…精神安定効果があり、神経の機能を高める効果があるとされる)
効用:疲労回復、滋養強壮、冷え症、腰痛、胃腸の虚弱な人の健胃薬、がん・かぜ予防、精神安定など
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